2010年10月10日日曜日

帰国前の話

その1

帰国前のあれこれを少し書き留めておこう。

9月中旬子供達がそれぞれ新地に居を移した頃、私は風邪を引いた。最初喉が痛い程度だったので、その内治るとたかをくくっていた。しかし回復する様子はなく、咳が出始め体の節々が痛くなった。降圧剤を飲んでいるので市販の薬は使えなかった。
コブラの保険契約を9月いっぱいで打ち切り、新規で安価の保険には入れなかった(拒否された)ので、10月は健康保険のない状態となる。これは早く治さなくてはと、日本人医師の診察を受けた。引越してかかりつけの医者も持っていなかった。その中であえて日本人医師を選んだのは漢方薬の知識を持っているのではと期待したから(私は漢方薬を常用していた)。しかし受診した日本人医師は親切な方だったが、漢方の知識はなく処方してくれた薬も効かなかった。

いよいよ保険が切れてしまう。この状態のままでは、帰国できない。
9月30日、ネットの口コミ情報で評判の良いアメリカ人医師Dr. Dに診察してもらった。診断は肺炎。レントゲンを撮りマクロイド系の抗生物質とコデイン入りの咳止めが処方された。保険で診察・検査・薬の処方と全額処理できた。風邪を引いてしまった自分が情けなかったけど、ぎりぎりセーフに思わずほくそ笑んだ。
しかし肺炎???!!!熱もないし普通に生活できているのに~?検索したところ、アメリカではWalking Pneumoniaと言われるらしい。日本だとマイコプラズマ肺炎かな?

その後電話で医師と話した。肺炎という診断が納得行かない私はやはり肺炎ですか?ともう一度聞いた。「肺炎と言うか気管支炎と言うか・・。」肺炎と聞くと何故か重く、気管支炎と聞き少しほっとした←意味ないけど。

10日間の抗生物質を飲みきった(アメリカでは通常の抗生物質は10日間の処方)が、多少症状は緩和したものの、咳が止まらない。時はすでに10月中旬になろうとしてる。帰国まであと少し。。。このままじゃ、飛行機に乗れないよ。保険がないので医者に行くとお金がかかる。。。どうしよう。。。。

1週間後に帰国となったある日、やはりもう一度Dr. Dの診察を受ける事にした。抗生物質の効果が出てくるのは普通1週間くらいかかるので、薬を飲み始めなくてはと思ったのだ。出された抗生物質はセフェム系。Dr. Dは保険のない私の自腹支払いを考慮して、診察請求は低価格、薬も安価な物を処方してくれた。さらに飛行機に乗る時の咳止め薬の持込方法や処方法も教授してくれた。Nice Doctor!! 口コミ情報を信じて診てもらって良かった~。

数日後薬が効き出したのか、咳が治まって来た。これなら帰れる、飛行機に乗れる~~!

ちなみに、昨年10月から1年間払った保険料は約21,000ドル。今年2月~4月に乳がん騒ぎがあったので、その際の検査や手術費用を考えれば保険に入っていて良かったという事になる(と思いたい)が、あまりに高額で全ては過去になった今も目が回る。

僅かな期間ではあったが保険無しで暮らし、保険がないという生活がどんなに心を乱すかを身を持って知った。私の場合、期間が決まっていて今を乗り切ればって思えたけれど、アメリカの470万人と言われる保険のない人々の期限のない不安や心配は想像を絶する物であろう。
オバマ大統領の人気が急落しているが、私は今もオバマ大統領に期待している。誰でも医者にかかれる、薬がもらえる・・・そんな単純な事がアメリカではできないなんてあまりに悲しいよ。


その2

年初から始めていたテディーの日本入国準備であったが、9月に入り最終局面を迎えた。

まずは、動物検疫所に入国の届出書を提出した(40日以上前に到着空港に届けなければならない)。
次にUSDA (United State Department Agriculture)で裏書きをもらう為の準備を始めた。USDA内、APHIS (Animal and Plant Health Inspection Service)のオフィスは各州の州都だけ(カリフォルニアはサクラメント)と思っていたが、APHISに問い合わせた所、幸運にもロサンジェルスにもあるとわかった。
しかし実際裏書きをもらうためには、入念な準備が必要となる。主治医のサインが必要であるのはもちろんだが、その主治医もUSDA認定の医師である必要があった。テディーの場合、主治医がサンノゼからサンディエゴに変わり狂犬病予防接種・抗体検査はサンノゼ、最終検診はサンディエゴとなり、裏書きをもらえるかどうかはAPHISロサンジェルス事務所の担当者によって変わってくる(信じられない話だが、どうやら裏書きを取れるかどうかの最終判断は各オフィスによってだいぶ違う)。さらにたとえ裏書きがもらえても、日本の検疫所が書き直し訂正にも異常な程の厳しいルールがあり、ルールを少しでも間違えば入国が認められない。
検疫所に日程との確認・APHISに持ち込む書類の確認をした。書類はOKとなり、あとは主治医のサインをもらい、APHISの裏書きをもらうだけ(のはずだった)。

帰国10日前、主治医の最終検診に行った。
テディーの健康状態は良好。癲癇の発作も3年間起こしていない。この病院のドクターも機内で睡眠薬や安定剤を飲ませる事に反対だった。ドクターからは空港でチェックインぎりぎりに抗癲癇薬を飲ませるように言われた。すでに薬の時間も、帰国時のフライトに合わせ少しずつずらしている。後はテディーに頑張ってもらうしかない。念のため、ドクターに癲癇の持病があるので薬を12時間ごとに飲ませる必要があり、できるだけ早く検疫所から開放してくれるようにと手紙も書いてもらった。サンノゼのDr. Mも本当に良い先生だったけれど、まだ会って日も浅いサンディエゴのDr. Cも、なんて親切なドクターなんでしょう。問題があれば電話でもEメールでもしてくれと、彼女の個人的な連絡先まで教えてくれた。
こうしてドクターのサイン入りの書類ができたので、再び動物検疫所に書類に不備がないかチェックしてもらった。

書類にOKが出たので、いよいよAPHISの裏書きとなった。APHISにはロサンジェルスにいる娘に取って来てもらおうとあらかじめ決めていたので、Fedexで娘の元に送付した。

帰国5日前、娘がAPHISのオフィスに行った。書類不備!!
あれほど電話で持ち込む書類の確認をしたにも関わらず、2点ほど追加の書類が必要と言われ、裏書きがもらえなかった。
私が問い合わせした時電話に出たロサンジェルス事務所の男性は、非常に感じが悪く不親切だった。あまりに感じが悪いので、私の英語力のなさやへんな発音が気に入らないのかと思い、2度目の電話は息子にしてもらったほどだ。結局息子の時もひどい態度で私達二人は共に不愉快な思いをしたのだけど、どうやら娘に対応した男性は同一人物だったみたい。娘もひどく憤慨していた。
<何で電話の時に言ってくれないよ!意地悪としか思えない。>と腹が立ったが、<やっぱりねぇ、簡単には裏書きはもらえない>という妙に納得もしてしまった。<いやいや、納得しててもしょうがない。早く書類を捜さなくちゃ。>

テディーの病歴他全ての書類はサンノゼからサンディエゴに持ってきていた(病院通いの続いたテディーの書類はかなりの量の書類がある)。もしかしたらその中にAPHISで求めている書類があるかも。が、しかし、、、
娘からの連絡の前日、日本に送る荷物の中に、テディーの書類は全部入れてしまった。そしてその箱はすでにOCSに持ち込んでいる。ガ~~~ン!!<何で入れちゃったんだろう><昨日だよ、昨日>と我を恨んでもどうしようもない。すぐにOCSに電話を入れた。ラッキーな事に荷物はまだOCSオフィスにあった。荷物室に入れてもらって、箱を開けテディー書類を引っ張り出した。
早速車の中で書類を探した所、それらしき書類があった。

娘に見つけ出した書類を持って再びAPHISに行ってもらった。箱から引っ張り出した書類にも主治医のサインが必要だったそうだけど、まあいいでしょって、ついAPHISの裏書きがもらえた!?裏書きがもらえて、まあ良い人だったと評価が変わった(笑)。

これらの書類は娘が当日ロサンジェルス空港に持ってきてくれる事になった。
帰国3日前、ようやくテディーの検疫に関する入国準備が整った。

葛桜れい2010年11月26日 13:10
遅くなりましたが、おかえりなさい!!
テディーちゃんを大変な思いをして、連れてきたのですねー
こんなに愛されて本当に幸せなワンちゃんです。

ドキドキしながら、ブログを読んでしまいました。
どんな困難にも負けないkame3さんは偉いです。

kame32010年11月26日 15:18
葛桜れいさん

ただ今~、戻ってきました。

お褒めの言葉をいただき、恐縮です。
単に<テディー 命>なんだと思います。
テディーと一緒に日本へというのが、私の最大のポイントでした。夫はテディー次第でフライトのキャンセルもあると覚悟していたらしいです。

益子に時々お出かけになるのですね。益子は家から40分位の所にあります。今度いらっしゃる時は寄っていただけたらうれしいです。


その3

帰国を前にして、テディーの入国手続きと共に手間がかかったのが、銀行管理他全ての事務処理の引継ぎだった。

家のローン・HOA・水道光熱費・税金・クレジットカードの支払い・・・できるだけオンラインで処理できるように手続きを取ったが、日本と同様、実際のチェック(小切手)の支払いや振替、契約の変更は(契約者)本人でないと手続きができない。
急な支払いや口座振替等が発生した時、日本から飛んでくるわけには行かないので、主要な銀行口座に息子の名前を追加した。

アメリカの銀行では共有名義の口座を作る事ができる。日本に共有名義の口座が作れないとは私には非常に不便に感じる。
我が家ではアメリカの口座のほとんどを夫婦共有名義で持っていたのだが、今回それらの口座に息子の名前を追加したので、息子のサイン一つでチェック(小切手)が切れ、お金を引き出せるようになった。

手続きは銀行の窓口で行ったのだが、その後も細かい証明書や書類の提出を求められ、事は簡単ではなかった。
最終的に手続きが完了して、銀行員がにやっと笑って「これで車を買うのかな?それとも何?」と息子に言った。大金は入ってないけど、そんなの勘弁してくれ~~。
思わず"I trust you(信じてるよ)"と真顔で息子に言ってしまった(笑)。

帰国してから息子からのメールはもっぱらこれらの事務処理の質問ばかりだ。
かなりズボラな息子だから、作業はとんでもなく面倒なのだろうと想像するが、サンディエゴに一人となった彼に頼むしかない。
次々と来る請求書・銀行からの連絡通知他。スキャンして送ってって言ったら、スキャンは面倒と言って写真に撮って送ってきた。
事務的な事が落ち着くまでまだ少し時間がかかりそうだが、きっと息子にも良い経験になってるよね?


その4

帰国日が近づき、日本への荷物の発送をする日になった。
発送は日通とOCSの2社から航空便で送る事にしていた。予算内いっぱいに荷物を送ろうと、お買い物に行った。スーパーでいつも買っていたアメリカの食品や雑貨が急に貴重な物に思われて、あれもこれも欲しくなった。だんだん帰国という実感が沸いてきた。
重い書類は送ってしまおうと箱に詰めてしまったのは、浅はかだった(前述日記の通り)。

帰国前日、日本から船便が届いた。船便には娘の冬着が入っていた。と言うのは、2ヶ月前夫が1年間の留学を終えた娘の荷物を送っていたのだ。おお、なんというタイミング!冬着到着を待ち望んでいた娘に明日空港で渡す事ができる。だけど彼女が必要な物だけ持って行けば良い。こんな時はスカイプが大活躍する。早速娘とスカイプトーク。画像を通して洋服の一枚一枚を見せ識別した。インターネットは我が家の生活には欠かす事の代物だ。

それにしても荷物をサンノゼ・サンディエゴ・ロサンジェルス・アーバイン、海を渡って栃木・千葉・東京とあっちへこっちへ・・・。一体我々は何をやってんだ~。

数日後には帰国だ。少しでも家をきれいにしなくちゃと思った。洗面所もトイレもキッチンも小さな庭もどこもかしこも急に汚れが目に付いた。何でもぎりぎりにならないと動かない私のLast minuteな性格は変わらない。ああ、何でいつもこうなんだ、少しは学べと我を叱る。息子の一人住まい、すぐに汚くなるのは見えているけど、お母さんがいた時はきれいだったと今更ながらに思わせたい(笑)。

家庭の味が食べられなくなる息子にあれもこれも食べさせようと多くの食材を買っていた。だが買い物に掃除にと雑用に忙しく、思ったより捌けてない。冷蔵庫の中はまだ調理を要する食材でいっぱいだ。このまま置いておいたら腐らせるだけ。ああああ、まとめて作って冷凍にしなくちゃ。。。。。

というわけで、帰国前日は夜中の2時頃までバタバタと動き回っていた。明日は5時起き、睡眠不足で機内ではぐっすり寝ていこうという作戦だった。

PS、日本での生活を始めて2週間、息子から冷凍冷蔵庫の中がほとんど空になったとメールが来た。そしてあまり健康的でないインスタント食品やファーストフードの食生活で少し痩せたと。日本で日々おいしい物に囲まれて生活し、感動のお味に出会うたびに子供達に食べさせてあげたいといつも思う。彼らは彼らのアメリカンな若者食に、さほど不満は感じてないとも思うけど・・。

先週はサンクスギビングだった。家族で集まる習慣のあるホリデーだ。我が家の子供達3人もサンディエゴに集合した。木曜日のサンクスギビングディナーには彼らのそれぞれの友達も参加したようで、にぎやかなサンクスギビングデーになったらしい。送られて来た食事の写真はいかにも楽しそうで、皆でワイワイ当番を決めて食事を作っている姿が目に浮かんだ。

anton2010年11月30日 01:19
出発間際まで、やっぱりバタバタしてたのね(笑)
でも、その母心わかります~

姉弟仲良くて、心強いですね。
皆が日本に来るの待ち遠しいでしょう。またバタバタしちゃうね。

kame32010年11月30日 07:13
antonさん

私、いつもバタバタしてるね(苦笑)。でも出国間際はとにかく忙しくバタバタしていたので、テディーの輸送に過剰な心配をせずに当日を迎える事ができたのは良かったです(笑)。

うちの子供達に仲が良いという印象はないなあ~。でも寮から家に戻るホリデーシーズンに、帰れる家があって良かった、集まれる兄弟がいて良かったと思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿