2010年7月15日木曜日

ありがとうの写真集

動物の絵が好きだった長男は、小学生の頃から度重なる引越しにもめげず転々と異なる絵画教室に通っていた(通わせていたというべきか?)が、バージニアからサンノゼに戻ってからは、Fさんのアートスタジオでアート全般を習っていた。そしてそのアートスタジオでは中学高学年になってインターンとして、高校生になってからはインストラクターとして働かせてもらっていた。
繊細で強情で神経質でズボラで優しくて頑固で・・・幼い頃からいろいろと問題の多かった長男。私の悩みの中心は常に長男だった。私の小言・文句は長男に集中していた。そんな可哀想な状況の中、長男をずーっと温かい目で見守り、褒め続けてくれたのはFさん夫妻だった。

大学に行き始めて長男はガラッと変わった。自ら学び自ら自分の行かんとする道を見つめ歩こうとし始めた。どうでもいいという投げやりな反抗的な態度は、ほとんど見られなくなっていった。

いや、実際に彼が変わリ始めたのは高校の3年目の頃だったかもしれない。Fさんの下、責任ある仕事を任され自信が出てきたのか、表情が生き生きしてきた。その表情の変化が交際範囲を広げていったのかもしれない。そして何故か急に女の子にもてるようになり次々と女の子が家に来るようになった。すると男友達の繋がりもますますしっかりしてきたようで、勉強はせずとも友達との信頼関係も生まれ高校生活を大いに楽しむようになっていった。

長男はFさんのアートスタジオで育てられたと言っても過言ではない。
大学に入ってからは、インストラクターとして中心的な存在となり、彼は自分の仕事に責任を持ち、親がびっくりするほど真摯に取り組んでいた。

私は心からF夫妻に感謝している。その私の想い以上に、決して口には出さない長男だが、F夫妻への感謝の気持ちは相当に強かったのだろう。
サンノゼの地を去ると決まった昨年秋頃、長男が突然言った「Fさんへのお礼に写真集はどうかな?」
今年に入って早々からFさんの留守を狙って(Fさんに秘密だった)通いつめ、スタジオ内の撮影を続けた長男。引越し前にようやく写真集となり、無事Fさんにお渡しする事ができた。



最後につけられた贈る言葉に多少誤字脱字があるのも、文法の苦手な長男ならではのご愛嬌だ。
しかしバックの色を黒にしてしまったので、全体的に暗いイメージになってしまったのは、反省材料。彼の初めての写真集は、彼を育ててくれたアートスタジオが題材となった。これもまた粋というものだ。

anton2010年07月17日 00:01
親以外の大人との関わりって、子どもにとって大きな意味があるんですね。学校や家庭以外の居場所を見つけるということも。
もちろん、本人の意志なくしてはそうした出会いを引き寄せることもできないのでしょうけれど。

自分にとっての大切な出会いに対する感謝の気持ちを、きちんと表現しようとする息子さんも、本当に素敵です。大人だなぁ。

写真集、背景色が黒でいい雰囲気ではないですか。
Brassaiの写真集を思い出しました。

Flickrに投稿している写真、時々眺めさせてもらっています。
上手いなぁって感心しちゃう。構図とか光の捉え方とか。

kame32010年07月17日 02:50
antonさん

全面的に自分を認めてくれる親以外の大人の存在は大事と思いました。特にお小言なしの爺婆や親戚縁者のいない海外生活ではその意味は大きく、さらに繊細で不器用、頑固者の息子なので、彼らの勇気付けなしには彼はずっと自分に自信が持てなかったのではと、感じています。

彼が自発的に感謝の気持ちを伝えよう、自分にできる事は何かと考えていた事に私は感動を覚えました。
子供はいつの間にか、ホントいつの間にか成長しているんですね。

Brassai・・・全く知らない世界でした。思わず検索してしまったよ。残念ながらあんな素敵な世界ではないけれど・・。
それにしても、antonさんの博識にいつもながらに恐れ入ってます。

Flickr、見ていただいてるんですね。
最近は車の写真ばかり撮って(Flickrに載せているのはほんの一部です)、私はちょっと不満。もっと自然を被写体にして欲しい~。

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